« 一発芸サバイバル | トップページ | 独り図書館 頭の中で何かが変わったのである »

2011年12月 7日 (水)

あぁ、食い道楽 亡き弟に贈るタルトタタン

六本木の東京ミッドタウンにあるトシ・ヨロイヅカには、何度も通わせてもらっている。
その様子は、この「あぁ、食い道楽」のカテゴリーで紹介してきた。
がしかし、去年の10月からは一度も行ってない。
弟が東京から引っ越す時、「東京に出てきたんだから、一緒に行こうや」という事になって行ったのが最後だ。

そもそも、初めて鎧塚氏のお店を紹介してくれたのも弟。
その当時は、ミッドタウン店は無く、恵比寿店のみだったので、そこの招待されるような形で入店したのだ。
そう考えると、弟、自分、トシ・ヨロイヅカは関係が深い。

さて、弟と最後にトシ・ヨロイヅカに行った時の話に戻るが、忙しい鎧塚氏が珍しくカウンターに立って、デザートを作っていた。
相当な常連だった弟の顔に鎧塚さんが気付くとすぐに、外に飛び出してきて、弟と話だした。
この辺りの話は、以前書いているのだが、鎧塚さんは「今年のモンブランは軽く作ったから、是非食べてほしい」と言っていた。
僕が、エクアドルのカカオ農場の話をすると、鎧塚さんは、来年小田原に農場を開くんですと言っていた。
それが最近オープンした、鎧塚ファームなわけだが、こうして書くと、時間は確かに経ったらしい。

それで、僕が何故トシ・ヨロイヅカに行かないか?であるが、この最後に行った日から2週間後に弟が亡くなったからである。
恐らく、お店に食べに行くと、一人なために、あの時と同じ席に案内されると思う。
あの時弟は隣に座って笑っていた。
それを思い出して多分泣くだろうから、行かないのだ。

弟はもてなし好きというか、自分で美味しいお店を探し出し、人を招待するのが大好きな人だったので、「美味しい、美味しい」と言って、食べてくれるのが何より嬉しかったようだ。
だが自分が教えたトシ・ヨロイヅカに、今はもう通わなくなってしまったと、弟が知ったら、きっと悲しい顔をするだろう。
そこで近々、トシ・ヨロイヅカに行こうと、やっと決めた。
そして、行くタイミングは、タルトタタンが始まったらにした。

弟とトシ・ヨロイヅカに行ったあの日、店を出る時も鎧塚さんは声をかけてくれた。
「もうすぐタルトタタンがはじまりますから、是非、来てください」と。
弟は、笑顔で「また来ます」と言った。
もうここに来る事はできないと分かっていて・・・・
弟はタルトタタンが一番トシ・ヨロイヅカの中で好きだと常々言っていたので、「また来ます」と嘘を言った時の気持ちは辛かったはずである。

さて、タルトタタンが始まったら、トシ・ヨロイヅカに行くわけだが、店内で出来たてのタルトタタンを食べるつもりである。
もう泣く事はあるまい。
そして、お土産にテイクアウト用の小さいタルトタタンを買ってくるつもりだ。
弟の前に供えるためだ。
できる事なら、毎年恒例の行事にしようと思っている。
弟の笑顔が蘇ってくるようである。

« 一発芸サバイバル | トップページ | 独り図書館 頭の中で何かが変わったのである »

あぁ、食い道楽」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。